魚のように泳ぐロボット、自由にサイズ変更可能な設計で水中調査に革新をもたらす可能性
ニューヨーク大学のタンドン工学部の研究チームが開発した「ScaFi」という水中ロボットが注目を集めています。このロボットは実際の魚と同様に体をくねらせて泳ぐ設計となっており、従来の水中ロボットが抱えていた課題を根本的に解決するアプローチを採用しています。
プロペラ式からの転換
水中調査用ロボットは従来、プロペラを使って推進力を得てきました。しかし回転する刃は水草に絡まりやすく、堆積物を巻き上げてしまい、観察対象の魚を驚かせてしまうという問題がありました。ScaFiはこうした課題に対し、魚と同じ泳法を採用することで対抗します。
ロボットの前部に搭載されたモーターと電子機器から、2本の腱が伸びています。モーターがこの腱を引っ張ると、柔軟な素材(ガラス繊維棒と布地)から構成された尾部がS字状に曲がり、静かに前進するという仕組みです。この動きは実在の魚の遊泳メカニズムを模倣した設計だとされています。
スケーラビリティという革新
ScaFiの最大の特徴は、ロボット全体を再設計することなくサイズを自由に変更できる点です。従来、水中ロボットのサイズを変更する際には、ほぼすべての部品を再設計する必要がありました。ScaFiではモーターと腱機構という基本部分は同じままで、尾部を構成するガラス繊維棒の直径だけを調整すればよいのです。
研究チームは0.6メートル、1.1メートル、2.9メートルの3種類のプロトタイプを製作し、実際の水環境で検証しました。最小型は水深15~30センチの小川で、中型はスイスの流れのある小川で、最大型はジュネーブ湖で試験されています。実験結果によると、サイズによって遊泳パターンに違いが生じました。小型ロボットはより敏捷で、実際の魚の遊泳パターンに近かったのに対し、最大型は敏捷性が低く、エネルギー効率も落ちるものの、水流への耐性が高いという特性を示しました。
次世代水中調査への道
ScaFiの成功は、異なるサイズ間でのエネルギー効率を均等に保つことが今後の課題であることを浮き彫りにしています。3つのプロトタイプはいずれもGPS信号の喪失後も継続して泳ぎ続けることができたため、基本的な運用安定性は確保されているとみられます。
本技術が示す設計思想は、水中ロボットだけに限定されるものではなく、他のロボット分野にも応用可能な可能性を持っています。生物模倣工学に基づいたアプローチは、複雑な環境での自律性を必要とする今後のロボット開発において、重要な選択肢となるでしょう。
