ヒューマノイドロボットに搭載する「電子皮膚」技術の開発が急加速している。素材メーカーのUnichem(ユニケム)が、柔軟電子素材メーカーのLoomia Technologies Inc.(ルーミア)を8月に買収したことで、人型ロボット向けのセンサー技術市場において、重要な再編が進みつつある。この買収は、ロボティクスと自動車業界の両領域で急速に成長している触覚センシング技術への投資戦略を象徴している。
柔軟な触覚センシング技術がもたらす可能性
Loomiaが開発したLEL(Loomia Electronic Layer)技術は、電子回路を布や革に柔軟に接合できる独自のプロセスである。従来の印刷電子技術では曲げ時に接続が断裂する課題があったが、同社の非印刷型で低抵抗メッシュ技術がこれを克服した。同社の創業者Madison Maxeyはスタンフォード大学出身で、2014年にLoomiaを設立している。
すでに同社は初の触覚センシング開発キットを発売し売り切れ状態となっており、市場需要の高さが伺える。国立科学財団(NSF)の触覚工学研究センター(HAND ERC)に参加し、MetaやAmazon Roboticsも同じ触覚センシングコンソーシアムに加わっている。産業用ロボットハンド製造のFestoとも協業してきた同社は、開発キットの統合を簡単にし、ロボティクス開発者向けのセンサーコストを低減させることで知られている。
グローバル自動車メーカーへの浸透を視野に
1976年設立のUnichemは、自動車内装と高級ファッション向けの天然皮革製品を製造する韓国企業である。買収額は約86億ウォン(米ドル換算で約600万ドル)であり、キャッシュ400万ドル、Unichem普通株100万ドル、アーンアウト100万ドルの分割払い構造となっている。買収完了は10月15日を予定している。
Loomiaとの協業パートナーであるR&Y Corp.は、2022年設立の自動車技術・製造企業で、時価総額10億ドルを超える。独Böselと米Michiganのほか中国に拠点を持つ。同社は精密加工から印刷電子まで幅広いエンジニアリング能力を保有しており、LoomiaとR&Yは垂直圧力と表面のズレ力(シェアフォース)を同時に検知する製品を共同開発中である。
Unichem経営陣は「Loomiaの技術がビジョンにとどまらずロボティクス革新を牽引する重要な基盤となる」と述べている。既存の50年間の皮革加工インフラとLoomiaの超薄型柔軟技術を統合し、VWグループを含むグローバル自動車メーカーへのスマート材料供給を目指す。MaxeyはLoomiaの創業者として、Unichem最高科学責任者Kim Han-jooとともに共同CEOを務める予定である。
ロボット産業と自動車内装市場の両方で触覚センシング需要が拡大する中、この買収による北米市場での足がかり獲得と競争力強化に業界の関心が集まっている。
