医療現場での実運用から生まれた進化 ディリジェント・ロボティクスが次世代配送ロボット「Moxi 2.0」を全米展開
ディリジェント・ロボティクスが医療用配送ロボット「Moxi 2.0」の全米展開を開始した。2017年の創業以来、25以上の病院での5年間の運用実績をもとに設計された次世代プラットフォームである。エンデバー・ヘルス・エドワード・ホスピタル、プロビデンス・セント・ジョンズ・ヘルス・センター、ロサンゼルス小児病院を含む複数の医療機関での導入が進んでいる。
Moxi 2.0の最大の特徴は、フリート全体の経験から学習する「ラーニング・フライホイール」機能だ。独自の世界モデルが各病院での運用データを収集し、継続的にシステムを改善する仕組みとなっている。テキサス州オースティンを拠点とする同社のアンドレア・トマズCEOは、病院の廊下が「高速で移動する人、ドア、カート、狭いスペース」といった複雑な動的環境だと指摘。新型ロボットはこうした環境で「信頼性を保ちながらより自信を持って動作する」と述べている。
計算性能の飛躍的な向上
Moxi 2.0は計算能力において前世代比で10~15倍高速化した。NVIDIA社のA2000コンピュートを搭載し、リアルタイムで周囲の状況を知覚・解釈できる。混雑した廊下、エレベータの開閉、足の流れの変化といった動的な病院環境への対応速度が劇的に改善された。同社はNVIDIA Isaac Simシミュレーション・フレームワークおよびNVIDIA Cosmosの3Dライダートークナイザーといった技術を活用して開発を進めた。
モジュラー設計も新たな特徴だ。新型コンピュートが登場した際に容易に統合できるよう、次世代システムの組み込みを念頭に置いた専用パッケージング構成とした。既存の医療機関インフラへの改造が不要で、初日から導入可能な設計は変わらない。
自動化で医療従事者の負担軽減
ロサンゼルス小児病院での事例が実績を示す。導入以来、ロボットが40,000回以上の配送を完了し、スタッフが供給物と医薬品の輸送に費やす時間を16,000時間以上削減した。フリートを2台から3台に拡張した同院では、利用率が第2四半期だけで10%以上増加したと報告している。
本件はServe Robotics傘下での初の大型発表だ。Serve Roboticsは2026年1月に同社を2,900万ドルで買収し、フィジカルAI研究への共同投資を通じて病院での展開ペースを加速させている。看護師の業務効率化と疲弊軽減という課題解決に向け、こうした協業体制での技術革新の進展が期待される。
