Agility Roboticsが産業用ヒューマノイドロボット「Digit 5」を発表した。新型モデルは脚部とバッテリーの改良、安全アーキテクチャの強化を特徴としており、人間との共働環境での安全な作業を実現するよう設計されている。同社は現在SPAC経由での上場準備を進めており、企業評価額は25億ドルとされている。
実運用を見据えた設計思想
Digit 5の開発には、先行モデルのDigit 4が顧客の生産現場で3年間の稼働実績を踏まえた顧客要件が組み込まれている。Agility Roboticsのペギー・ジョンソンCEOは、同モデルが産業環境でのヒューマノイドロボットスケーリングの大きな障壁を除去するものだと述べている。製造業、倉庫業、物流業界から3億ドルを超える複数年契約と成長する顧客パイプラインを獲得したことが、市場の実需を示している。
共同創業者で最高ロボット責任者のジョナサン・ハーストは、技術実証の段階から実運用への転換過程を説明している。初期の顧客対応を通じてFCC認可、UL認証、ISO認証といった規制要件や、施設内の通路幅、充電器の設置場所、ワークフローの詳細など、実装に必要な数百の工学的要件が明確化されたという。こうした顧客との協働により、Digit 5の設計基盤が構築されている。
運用効率性の飛躍的向上
ハードウェア面での改善が実装効率に直結している。Digit 5は高速自動充電器を搭載し、90分の連続稼働後、わずか9分で完全充電可能となった。これにより稼働時間と充電時間の比率が、Digit 4の2対1から10対1へ向上し、24時間中20時間以上の運用を実現する。安全アーキテクチャの強化により、物理的安全柵なしで人間の近接域での作業が可能になった点も、産業現場への統合に重要な意味を持つ。
グローバル展開と市場予定
Digit 5は北米外への初の商用展開を予定しており、欧州連合と英国から開始される。CE認証および追加の規制マーク取得により、EU、グレートブリテン、北アイルランドへのアクセスが可能となる見込みである。同社は2027年上半期の限定的アクセス開始、2027年末までの一般提供開始を予定している。2025年時点での純売上が180万ドルだった同社が、大規模商用展開へ移行する転換点を迎えている。
