Boston Dynamicsの元幹部が娯楽・ホスピタリティ分野に特化したロボティクス企業「Dynamic Creatures」を立ち上げた。同社はテーマパーク、カジノ、クルーズ船などのエンターテイメント施設で活躍するロボットキャラクターの開発を目指している。Boston Dynamicsが公式なエンターテイメント・ホスピタリティパートナーとして関係を結んだことも大きな特徴だ。
ダンスロボットの成功から生まれた新事業
Dynamic CreaturesはMarc TheermanとFarbod Farshidianの両名によって共同設立された。Theermanは元Boston Dynamics戦略責任者で、Farshidianはロボティクス・AI研究所の元研究リーダーである。同社の名称はBoston DynamicsとJim Hensonの人形劇制作部門「Creature Shop」の両者へのオマージュとされている。
Boston Dynamicsはこれまで、二足歩行ロボット「Atlas」や犬型ロボット「Spot」をダンスさせたり、アメリカズ・ゴット・タレントに出演させたり、FIFAワールドカップに参加させたりするなど、娯楽的な映像を多数発表してきた。Theermanはこうした動画を制作した理由について、ロボット技術が日常生活のあらゆる場所に広がることを一般市民に理解してもらうことの重要性を指摘している。
自然な動きと人間とのインタラクション
Dynamic Creaturesが開発した統合AI・ロボティクスプラットフォーム「SnowJay」は、ロボットの動作層として機能する。同プラットフォームの核となるのは、自然な歩行と人間とロボットのインタラクション(相互作用)である。
自然な動きの実現には、モーションキャプチャアニメーションとNVIDIAのツール、強化学習を組み合わせる手法が採用されている。Farshidianは2026年のCES(Consumer Electronics Show)でのAtlasの発表時に、より自然な歩行パターンの開発を主導したとされる。
人間とロボットのインタラクション面では、現在のロボットの多くが音声や視覚による対話機能に限定されていることが課題だ。同社はこの点に注目し、単なる入力に対する反応出力ではなく、より深い相互作用の構築を目指している。器用な物体操作能力の向上も重要とされるが、Dynamic Creaturesの開発フォーカスは人間とロボットの相互理解にあるという。
業界の期待と投資家の支持
Boston Dynamicsのインテリムであるアマンダ・マクマスターCEOは、Dynamic Creaturesが「先進的ロボット工学の重要な新領域を開く」と評価している。実績のあるロボットプラットフォームにキャラクター設計と適応的行動を組み合わせることで、これまでにない体験を実現する可能性があるとの見方だ。
投資家陣容も豪華で、EniacベンチャーズやKindredベンチャーズなど米国とヨーロッパの複数の機関投資家が出資している。戦略的な天使投資家にはBoston Dynamics創設者でRAI研究所エグゼクティブディレクターのMarc Raibertや、Lukas Zieglerが名を連ねている。これらの支援体制が、娯楽向けロボティクスの商業化を加速させるとみられている。
