イタリアの産業ロボット大手Comau(コマウ)が、協働ロボット(コボット)を用いたピッキング・ハンドリング・パレタイジング自動化システムをスポーツ用品小売大手Decathlon(デカスロン)のeコマース物流拠点で検証・導入した。このシステムは、欧州の製造業革新プロジェクト「MASTERLY」の一環として開発されたもので、従来の大量生産から多品種少量生産への柔軟な転換を加速させる取り組みとして注目される。
多様な商品に対応する自動化プラットフォーム
Comauの協働ロボット「MyCo」をベースとしたこのシステムは、ROS 2ベースのソフトウェアアーキテクチャを採用し、高度なモジュラーグリッパーを統合している。形状・重量・材質が異なる物体の操作に対応でき、eコマース物流環境で一般的な硬質・軟質・多孔質素材の取り扱いが可能だ。視覚認識による物体検出機能、デジタルツイン、ワークフロー管理ツールも組み込まれており、リアルタイム最適化と作業者との協調作業を実現している。このアーキテクチャにより、高い柔軟性を保ちながら安定した処理能力と信頼性を維持できるとされる。
人間中心の自動化を実現する設計思想
MyCo自動化システムは迅速な導入と容易なプログラミングを念頭に設計されており、急速な再配置にも対応する。Comauの製品・ソリューション管理責任者Alessandro Piscioneriは、このプロジェクトが柔軟性と人中心の自動化への同社のコミットメントを示していると述べている。システムは作業者の身体的負担を軽減し、職場の人間工学を改善しながら、生産と市場の急速な変動への適応力を備えた物流運用を可能にする。Decathlonとシステムインテグレータ「STAM」との協力により、実装と機能検証が進められた。Comauは今後、Automha とInventの買収によって強化した内部物流能力を活用し、倉庫から生産まで一貫した統合ソリューション展開を進める方針とされている。
欧州製造業プロジェクトにおける位置づけ
MASTERLYは従来の大量生産システムから高度に柔軟なカスタマイズ製造システムへの転換を推進する欧州イニシアティブである。Comauはインテリジェンスロボティクス、デジタル技術、システム統合を組み合わせることで、サプライチェーン混乱や急速な再構成ニーズといった課題に対応する自動化を提供している。検証を通じて得られた知見と機能は、MyCoプラットフォームの継続的な進化に貢献し、Comauの内部物流ソリューションポートフォリオに統合される見通しだ。