ロボット工学の歴史に足跡を刻んだ発明家が改めて注目を集めています。物流ロボティクスの開発者ピーター・ウーマン氏が、米国の発明家殿堂(National Inventors Hall of Fame)による長編動画で特集されることになりました。米国特許商標庁(USPTO)との共同制作によるこのドキュメンタリーでは、ウーマン氏の革新的な発明と人生の軌跡が紹介されています。
倉庫自動化を変えたKivaシステム
ウーマン氏は2022年に発明家殿堂に殿堂入りしました。同氏がミック・マウンツ氏およびラファエロ・ダンドレア氏と共同開発した「Kivaシステム」の功績が認められたものです。このシステムは流通センターにおける物資搬送用の移動ロボットで、倉庫の商品ピッキング業務に革命をもたらしました。
Kivaシステムの特徴は、数千台のロボット群と高度な制御ソフトウェアを組み合わせ、在庫棚を作業者のもとへ運ぶという逆転の発想にあります。これまでの人間が商品を探して移動するという方式から、ロボットが商品を届ける方式へ転換させたのです。ウーマン氏はシステム全体のアーキテクチャを担当し、CTO(最高技術責任者)として、タスク配分とロボット群の移動を調整するアルゴリズムを開発しました。安全性、生産性、処理時間、スループットなど、フルフィルメントセンター運営のあらゆる側面を改善したとされています。
産業への浸透と継続的な創造
Kivaシステムは最初、オフィス用品大手のステープルズ社に導入され、その後ウォルグリーンズを含む多くの企業が採用しました。2012年にはアマゾンが当該企業を買収し、Amazon Roboticsとしてリブランドされています。ウーマン氏は70を超える米国特許を名前に連ねており、2008年にはマウンツ氏およびダンドレア氏とともにIEEE/IFR Innovation and Entrepreneurship Awardを受賞しています。
発明家殿堂は1973年にUSPTOとの協力により設立された非営利団体で、世界をより良くした発明者を顕彰するだけでなく、次世代の起業家精神を育む教育プログラムを実施しています。ウーマン氏の事績を通じて、ロボティクスがいかに産業の根幹を変革するかを示す好例となっており、日本国内でも自動化・ロボット化への関心は高まり続けています。
