トカゲの動きから着想、火星ローバーが砂地を自在に移動する新型車輪を開発

生き物の運動メカニズムを機械に応用するバイオミメティクス(生物模倣技術)が、火星探査ロボットの移動能力を大きく向上させようとしています。トカゲが砂地を素早く移動する際のくねくねとした動きを参考にした「ウィグリーホイール」と呼ばれる新型車輪が開発され、火星ローバーが砂地での移動を従来以上に効率的に行えるようになるとみられています。この技術は、NASA(米航空宇宙局)やスタンフォード大学などの研究チームによって開発が進められており、火星での長期探査ミッションへの適用が期待されています。

トカゲのくねくねした動きを車輪に

従来の火星ローバーは硬い円形のタイヤを搭載していましたが、砂地での走行時には砂が深くめり込み、進行が妨げられるという課題がありました。新型の「ウィグリーホイール」は、外周に複数の柔軟なひれ状の突起を備えた設計となっており、回転する際にこれらの突起がくねくねと波打ちながら動きます。このメカニズムにより、ローバーが砂地を移動する際、タイヤが砂をかき分けるのではなく、むしろ砂の上を泳ぐように移動できるようになるとされています。トカゲが自身の体をくねらせて砂漠を素早く移動する原理と同じメカニズムを応用した設計です。

火星探査における実用的利点

火星の表面は微粒子からなる砂地が広がっており、従来型のタイヤではスリップやスタックが頻繁に発生していました。ウィグリーホイールはこうした問題を軽減し、より広い範囲を効率的に探査できる能力をもたらすと考えられます。加えて、ローバーが動力を消費する頻度が減少することで、バッテリー持続時間の延長も期待できます。火星での長期探査ミッションでは、移動効率の向上が調査可能な範囲の拡大に直結するため、科学的な成果にも大きな影響を与える可能性があります。今後さらなる実地テストを経て、次世代火星ローバーへの搭載が進むと予想されています。

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