ロボット制御ソフトウェアの開発企業Ventionが、FA機器大手のファナック(FANUC)と協働ロボット大手のユニバーサルロボッツ(Universal Robots)との提携を発表しました。三社は「ソフトウェア定義の自動化」という新しいアプローチに基づく統合プラットフォームの構築を目指すとみられます。
メーカー異種間の連携で何が変わるのか
従来の産業用ロボットシステムは、個別メーカーのハードウェアに最適化された専有ソフトウェアで運用されてきました。Ventionが提唱するソフトウェア定義自動化(Software-Defined Automation)では、異なるメーカーのロボットやコンポーネントを統一されたソフトウェアプラットフォーム上で管理・制御する仕組みを実現します。ファナックの産業用ロボットとユニバーサルロボッツの協働ロボットが同一システムで動作するようになれば、製造現場の設計自由度が大幅に向上します。工場のレイアウト変更や生産ラインの再構成時に、特定メーカーへの依存を減らし、最適なロボットを選択できる環境が整うとされます。
製造業の柔軟性を大きく左右する基盤
グローバルな製造業は多品種少量生産への転換を余儀なくされており、生産設備の汎用性がますます重要になっています。従来型の専有システムでは、新しい生産工程に対応させるために既存ロボットを買い替えたり、統合ソフトウェアの追加開発に多大なコストを要したりしていました。三社の提携は、こうした産業課題に対する直接的な応答です。特にユーザー企業にとって、ハードウェア選定時の制約条件が減れば、システム導入から稼働開始までのリードタイムも短縮できます。日本の製造業が抱える人手不足と生産効率化の同時実現に向けて、このプラットフォームは重要な選択肢となる可能性があります。
日本と世界の自動化市場への波及
ファナックとユニバーサルロボッツは世界市場で圧倒的なシェアを占める企業です。両者がVentionと協働することで、ソフトウェア定義自動化の標準化が加速するとみられます。日本国内でも自動車部品メーカーや電機メーカーがこのプラットフォーム採用を検討するようになれば、産業用ロボット市場の競争環境は大きく変わるでしょう。同時に中堅・中小製造業にとっても、複数メーカー製ロボットの導入障壁が低くなることで、デジタル化と自動化の機会が広がります。これまでロボット導入に慎重だった企業層にもチャンスが生まれる契機となり得るのです。